「赤鼻のトナカイ」に見る日本語ラップの限界 / "Rudolph the Red-Nosed Reindeer" translated to JP shows limitation of rap in JP

 「赤鼻のトナカイ*1」の原題は「Rudolph the Red-Nosed Reindeer*2」と言う。皆さんご存知のこの歌、子供心に歌詞がおかしいと思った事は無いだろうか。
 「真っ赤なお鼻のトナカイさんは」、としか説明されていないのに、いきなりサンタさんは「暗い夜道はぴかぴかのお前の鼻が」とか言い出す。え?光るの?っていうか「でもその年のクリスマスの日」ってどの年だよ!そもそもクリスマスの日じゃ遅ぇーよ!イブ以前に言わないと意味ないだろ!
 これらの疑問は原曲を聞けば全て自明である。

日本語歌詞:真っ赤なお鼻の
英語歌詞(原曲):Rudolph, the red-nosed reindeer (意訳:赤鼻のトナカイのルドルフは)


トナカイさんは
had a very shiny nose. (鼻がピカピカだった)

 日本語で「鼻が赤い」と言ってる間に、英語だとトナカイであることとその名前まで説明している!しかも余裕かまして2回も鼻について触れてるし!

暗い夜道は
Then one foggy Christmas Eve (そしてある霧のクリスマスイブに)


ぴかぴかの
Santa came to say (サンタが言いに来た)


おまえの鼻が
Rudolph with your nose so bright, (輝く鼻のルドルフや、)


役に立つのさ
won't you guide my sleigh tonight? (今夜はお前がそりを牽いてくれないか?)

 原曲だとちゃんとイブって言ってる*3し、暗いだけでなく*4霧も出ているとある夜に、と説明している。
 日本語が一音節で一文字であるが故に、翻訳に際して歌詞の情報量が激減しているのである。

 同じ理由から、日本語ラップを作る難しさも想像できる。一回の発声で一単語すら言えなかったりするので、どうしても冗長になってしまうのだ。日本語ラップって何かダサい、とか言わないであげて!多分作るのはめっちゃ大変なんだから!

クリスマス・イブ Rap

クリスマス・イブ Rap

 メリクリ。T

*1:赤鼻のトナカイ(クリスマスソング) 歌詞 - goo音楽より。以降の歌詞の引用元も同じ。

*2:Rudolph the Red Nosed Reindeer Lyricsより。歌詞の引用元も同じ。

*3:赤鼻のトナカイ - Wikipediaによると日本語に翻訳されたのが1961年らしいので、恐らくその当時にはまだ、イブの夜にサンタがやって来るということが常識として浸透していなかったのではないか。

*4:夜が暗いのは毎年のことのはずだ。