中国の現状 / Current situation in China P. R.

中国の大陸側では、世論操作が完了している。

メディアはネットも含めて完全に政府のコントロール下にあるが、もっと恐ろしいのはSNSに民衆が投稿する「爱国心」である。もはや、少しでも香港民主派に対する同情心など表そうものなら袋叩きに遭うだろう。

デモが始まった当初は、チャットアプリで写真1枚送ろうとしただけでそのアカウントが停止されるほど、徹底してデモの存在そのものが隠されていた。一月ほど経ち、一部のデモ参加者が暴れだした頃になって初めて、その映像のみ解禁。私は日本の報道機関のサイトなどで情報を入手しているが、NHKBBCなど大手のサイトは「金盾」により、繋がったり繋がらなかったり。*1

結果、マフィアや外国に雇われた悪漢と無知な若者達とが地元経済に打撃を与え、警察を襲撃しているというストーリーが出来上がり、それをまた「善意の爱国者」が拡散している。警察がビーンバッグ弾や催涙弾を水平発射する映像にいいね!が殺到し疑義を挟むことは許されない、殺伐とした世界がここにはある。

私の周りの留学経験者やビジネスレベルの外国語を操る人達まで、挙ってそのような「爱国的」内容をSNSに書き込むのだ。ここ何日かで香港に関する投稿全体では8- 9割がそんな感じ。憎悪もビンビンに伝わってくるので、見ていて辛い。そもそも、中国の「爱国教育」は日本人の想像を絶するのだが、それを実感させられた。中国では、小学校入学と同時にまず国歌を覚えさせ、大学の卒業試験で国家主席の思想について問われる。その成果がモロに発揮されている。

この現状、伝え聞く戦前戦中の大日本帝国とそっくりである。「大和民族の団結を!」「愛国者なら◯◯べき!」「××は売国奴!」「我が国が国際競争で生き残るために!」

武力による「鎮圧」が始まろうとしているが、中国の世論、いや全体主義的価値観は政府を支持し続けるだろう。

*1:そもそも、人は見慣れているサイトしか見ない。中国の人民日報の日本語版は日本でも無料で見れるが、常にチェックしている日本人なんか政治学者ぐらいだろう。